錆びたナイフ

普段は略して『ガブ』と呼ばれる
その名は『ガブリエルカミマックス』

今日はそんな彼の待ちに待った面会日

経緯不明ながら、山中で保護されるという
小型犬とは思えぬ道を歩いてきただけあって
里親さんの手に負えず、預ったのが最初でした。

肩で風を切り、ナイフのように尖っていた男。
ほんとうは弱いのに勘違いしている犬が多い中
生粋の強さを持つ本物、それがガブなのです。



でもね、その強さが不幸中の幸いだったんだな。
食べることもままならない冬の野山で一人ぼっち
並みのメンタルだったら潰れちゃってますよ。

ビー玉みたいな瞳で痛いほどのアイコンタクト
こうやって生まれ変われたのも彼が強かったから。



今の飼い主さんと暮らし始めた頃、夜になると
フラッシュバックするかの様に怯えてたらしい...
芯が強くなければ、乗り越えられなかっただろう。

それに凄く頭の切れる子で人の話をよく聞いて
色々と自分の中で巡らせてるのが解かるんですよ。
だからこそこっちの強さも求められるんだけど

家族のぬくもり、社会のルール、人間への敬愛を
心に刻んで生きていく、それがガブの新しい道のり。

さあ卒業に向けて飼い主さんと一緒にがんばろう!!
錆びたナイフなんか、もういらない。